本の断捨離、ポーの一族と再会。一作家一冊で残すのは意外な作品。
- socom5055
- 2019年10月7日
- 読了時間: 3分
更新日:2019年11月23日
20年ぶりぐらいに、本の断捨離。段ボール箱の個数がもう限界。ところで、捨てられない、残す本は結構意外。ダシール・ハメットなら「マルタの鷹」には未練がないが(再読しない)「ガラスの鍵」は残しておきたい。これ、ハメットが自作で最も愛する作品、というのが理由の一つでもあるが、主人公がとにかく弱い。ハードボイルド史上最弱な気がする。博打の弱いギャンブラー。これを原作にした映画「ミラーズクロッシング」では、娼婦に殴られて、ウッとなっていたぐらい弱い。ではなぜネド・ボーモンは暗黒街で信頼されているのか?暗黒街のボスの親友でもあるが、人間としての説得力がある、というのが唯一の理由の気がします。そして、この作品のポイントはラスト、友人を本当に突き放してしまうハードボイルドなやさしさであった。(ような気がするので再読すると思って本棚に戻しました。)
エルモア・レナードは「ラブラバ」ではなくて「野獣の街」。これは5回ぐらい読んで、まだ読みたいと思っている本。小ネタですが、レナードは、この本の取材でロサンゼルス市警察に3か月間、密着取材をした。物語中で、悪漢が恋人に、その刑事はどんなやつだったかと質問。恋人は「その刑事は、イカしてた」と返答。悪漢は答える。「そうか、じゃあロサンゼルス市警察でイカした刑事を探そうじゃないか。そいつを人生の目標の一つにしようじゃないか」。これは、ロサンゼルス市警察の方々に向けたギャグだと思います。そして、ラスト。ネタバレです。刑事と悪漢がついに決闘状態に。刑事が悪漢を拳銃で撃ちます。そして、電話をかけます。死にゆく悪漢が刑事に質問をします。「いま、救急車を呼んだのか?」「いや、ウェイン郡の死体運搬車を呼んだんだ」。
チャンドラーは、やはり「長いお別れ」。P.K.ディックは、やはり「アンドロ羊」。アメリカ文学界の狂犬ジェイムズ・エルロイは鉄板の「L.A.コンフィデンシャル」。これは映画も繰り返し見てしまう。ラテンアメリカ文学は未練なし。「百年の孤独」「失われた足跡」も面白いが再読はない。泉鏡花は「高野聖」より「春昼」、萩尾望都モー様はもちろん「ポーの一族」、大島弓子ユーミンは「ロジオン・ロマーヌイチ・ラスコーリニコフ」。
「ポーの一族」を読んでからヘッセの「車輪の下」を読むとデジャヴに陥る、同じ場面が多い。ギムナジウムでの少年愛とか。ユーミンの「ラスコーリニコフ」を読んでからドストエフスキーの「罪と罰」を読むと登場人物が脳内でみんな大島弓子の絵柄に変換されてしまう、という高校時代の思い出が段ボール箱から甦ってきました。
その他、「吾輩」「雪国」「仮面」「夜明け」「人間失格」「星の王子」「宮沢詩集」などは、再読しないでしょうが手元に置いておきたいと思ってしまいます。 再読はしないけれど「国境の長いトンネルをこえると」とか「恥の多い人生でした」とか「光のパイプオルガンを弾くがいい」のあたりをちらちらと眺めるのでしょう。本はため込むより、本棚をきちんと保つべき、とようやく学んだような気がします。
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